日本の広告費(2023年データ)から見えること
2024年2月27日、株式会社電通は日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2023年 日本の広告費」を発表しました。
要点は以下の通りです。
●日本の総広告費は、過去最高の7兆3,167億円(前年比103.0%)に
●インターネット広告費は、3兆3,330億円(前年比107.8%)で広告市場全体の成長を後押し
●アフターコロナ時代を迎え、プロモーションメディア広告費における「イベント・展示・映像ほか」は、前年比128.7%の高い伸び
2024年02月27日「2023年 日本の広告費」調査レポート より引用
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0227-010688.html
日本の総広告費の推移
2020年、コロナ禍で全体の広告費は落ち込んだものの、それ以降、日本の総広告費は伸び続け、昨年2023年は過去最高の7兆3,167億円(前年比103.0%)となっています。
アフターコロナ時代を迎え、プロモーションメディア広告費における「イベント・展示・映像ほか」が、前年比128.7%と高い伸びになったことが、大きな要因ではありますが、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費が伸びているのも、今の時代を反映していると思います。
2023年のマスコミ四媒体およびその額は以下の通り
・新聞デジタル 208億円(同94.1%)
・雑誌デジタル 611億円(同100.2%)
・ラジオデジタル 28億円(同127.3%)
・テレビメディアデジタル 447億円(同124.9%)
上記を見てみると、ラジオ、テレビの伸びが大きいです。
ラジオの場合はPodcastやradikoの音声メディアの普及、テレビの場合は「見逃し無料配信動画サービス」の普及に伴い、ユーザーは自分の好きな時間、隙間時間にコンテンツを楽しむという傾向が伺えます。
Webサイト制作はどこの項目に入るのか?
Webサイト制作は、上記の表で言うと「インターネット広告費」の中の「制作費」に含まれます。この中にはSNSやネット広告に関連する制作費も含まれますが、年々増加しており2023年は4,359億円の市場です。
ただ、構成比でみると二年連続5.9%となっているため、頭打ちの市場なのかもしれません。
マスコミ四媒体広告費の「新聞広告費」は毎年減少
新聞広告費は前年比95.0%と、年々減少しています。
そもそも新聞購読している人が減少していることが大きいでしょう。日本の人口減だけでなく、若者はネットニュースで社会の動きを無料で知ることができるため、費用を払ってまで新聞購読する必要はありません。
日本新聞協会のデータでは、一般紙の総発行部数が3000万部を大きく割り込み、2800万部台まで落ち込んだことが明らかになっています。毎年200万部も減少していることになります。もし今後もこのペースが続けば、15年後に紙の新聞は日本から消えてしまう計算です。
今後の広告費はどこに向かうのか
昔も今も、企業はどこに広告を出すかは、ターゲットとするユーザーが目に触れる機会が多いところです。
40年前は、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌でした。
しかしスマホの普及率97%(2024年)の今は、ほぼスマホなのかもしれません。
そしてスマホで見れる、SNS、動画(YouTube、映画、見逃し無料配信動画サービス)、ニュースアプリ、Webサイト、地図、天気、etc。
スマホに取って代わるデバイスが出てくるまでは、上記のところに広告は出てくるでしょう。
スマホに取って代わる次のデバイスは、何でしょう。
予測されるのは「Apple Vision Pro」のようなものが、普通のメガネくらいの大きさになって、その普及率が高まったらそれになるかもしれません。
そしてそのうち「脳」の中に電気信号を送り、目で見なくても映像を見れる技術が出てきたら、その機械が取って代わるデバイスになっていしまうのかもしれません。
そこまできたら、もう現実とは何か?が分からなくなりますね。
初代のiPhoneは2007年6月29日に発売されました。そこから17年でスマホの普及率97%に到達しています。
そう考えると「Apple Vision Pro」は2024年6月28日発売。そこから17年後の2041年には、メガネ側のデバイス普及率97%になってもおかしくありません。
人は、何との接点を多く持って、人生を生きて行くのでしょう。
人間以外の動物から見てみると、人間という生き物は、常に現実と一緒にいない、不思議な動物に見えるかもしれないですね。